1泊2日で丹沢主脈を歩く(2日目) – 塔ノ岳から丹沢山・蛭ヶ岳を経て焼山登山口まで

山歩き
鬼ヶ岩ノ頭付近から蛭ヶ岳を望む

2024年5月17・18日登頂

丹沢主脈へ行くなら1泊2日でじっくり歩きたい…

そんな想いを馳せながらの丹沢2日目です。

1日目は蓑毛バス停をスタートしてヤビツ峠を通り、二ノ塔、三ノ塔を超えて塔ノ岳まで歩き尊仏山荘に宿泊しました。(1日目の内容はコチラ)

2日目は丹沢主脈線を縦走して津久井街道沿いの焼山登山口へ抜けるルートを歩きました。

丹沢主脈線

丹沢主脈線は塔ノ岳から丹沢山・蛭ヶ岳を経て姫次を超えて焼山まで連なる稜線です。

丹沢エリアでも代表的な稜線の一つに数えられています。

他にも”丹沢主稜”と呼ばれる蛭ヶ岳から檜洞丸、大室山、菰釣山と西方へ延びる約30kmと長い稜線などもあります。

コース概要(2日目)

2日目は塔ノ岳をスタートし、主峰である丹沢山や丹沢エリア最高峰の蛭ヶ岳など数々の山を超え、東海自然歩道最高峰の姫次を抜けて焼山へ下っていくルートで計画しました。

要は”丹沢主脈線”をそのまま縦走していくルートです。

余談ですが、小屋でチェックインをしたときのお話です。

チェックインの際にはお約束の記帳があります。

記帳カードに名前やら住所やら色々記入するのですが、その中に下山ルートを記入する項目が大概あります。

ざっくりと上のコース内容でカードに記入して小屋番さんに渡しましたら、それを見てニヤリとしながら一言

「おっ、長いねぇ!」

となんだか意味深な事を言われました。

このコースを辿る人はあまりいないのでしょうか…なぜだか分かりませんが、ちょっと嬉しくなりました。

地図を見ますと、塔ノ岳からほぼ北へ進んでいく事になりますね。

マップでは省略していますが、塔ノ岳~丹沢山~蛭ヶ岳の間には山名のついた大きなピークが他にも6つほどあります。

その間は眺めはよく縦走感もありますが、それだけアップダウンが激しいともいえます。

丹沢2日目のコース 出典:国土地理院ウェブサイト(地理院タイルを加工して作成)
  • 2日目のコースタイム 休憩を含めて9時間50分で計画(塔ノ岳6時30分スタート・焼山登山口16時20分到着)
  • 1日目のコース距離:約17.1km
  • 高低差:↑1117m ↓2311m
  • 2日目のざっくりな行程:塔ノ岳→丹沢山→蛭ヶ岳→姫次→黍殻山→焼山→焼山登山口
  • 2日目の主な山:塔ノ岳(1491m)、日高(1461m)、龍ケ馬場(1504m)、丹沢山(1567m・一等三角点)、箒杉沢ノ頭(1550m)、不動ノ峰(1614m)、棚沢ノ頭(1590m)、鬼ヶ岩ノ頭(1608m)、蛭ヶ岳(1673m)、姫次(1433m)、黍殻山(1273m・三等三角点)、焼山(1060m・二等三角点)

コース距離が17kmというのは高尾陣馬縦走路(高尾山口駅から陣馬高原下バス停まで)と大体同じです。

高低差の比較は、塔ノ岳山頂からスタートするので流石に無理があると思いますが、丹沢のほうがアップダウンは間違いなく激しいといえます。

塔ノ岳から丹沢山まで

尊仏山荘 天気:晴れ 気温:12℃くらい

4時15分 起床

起きてからは暫くぼーっとしてしまったため、日の出時間が過ぎてしまいましたが、綺麗な朝焼けと富士山を拝むことができました。

朝食も予定より30分ほど早くありつけたので、その分早めに出発できそうです。

食事を済ませた後は、出発前に水場で給水しておくことにしました。

水場までの距離は小屋から約300メートル。

300メートルと聞くと近そうに感じますが、長い階段の上り下りだったので水を汲みに行くだけでも一苦労しました。

出発前に体力を消費してしまい、これなら水を買ったほうが良かったかなと思ってしまいます。

6時00分 2日目スタート

準備を整えて出発します。

最初に目指すのは丹沢山です。

丹沢山までの距離は2.6km、1時間20分くらいでしょうか。

小屋を後にして木段を下っていきます。

しばらくすると平坦な道になり、ここからアップダウンが連続していきます。

6時20分 1つ目のピーク

ここからも富士山の眺めが綺麗です。

それにしても塔ノ岳から先は人が少なく静かで気持ちがいいです。

6時30分 日高(1461m)

1つ目のピークから10分ほどで日高に到着。

木が生い茂っていて眺めは良くありませんが、ピークを過ぎるとこれから歩いていく山々が見えてきました。

左手奥が丹沢山(だと思う)

6時55分 龍ヶ馬場

木道を上っていくと3つ目の小さなピークに出ます。

ピークを超えると一旦なだらかになりますが、所々に泥濘があります。

さらに上っていくとベンチがあり、そこを過ぎると龍ヶ馬場の山頂です。

笹に覆われていて眺めはありません。

3つ目のピークへ上っていく
ピークを過ぎるとなだらかな道
所々にぬかるみがある
さらに上っていく
竜ヶ馬場山頂手前、右側にベンチがある
竜ヶ馬場山頂付近 眺めはあまり望めず

竜ヶ馬場を過ぎれば、次は丹沢山です。

丹沢山まではしばらくなだらかな上り坂が続きます。

7時16分 丹沢山山頂

丹沢山山頂に近づいてくると勾配が徐々に出てきました。

山頂から手前100mくらいの間が少しキツかったです。

竜ヶ馬場からおよそ20分ほどで丹沢山に到着。

山頂は特段眺めが良いとは言えませんが、静かで落ち着いた雰囲気がグッドです。

丹沢山山頂に到着
よく整備されている
みやま山荘
一等三角点 基準点名「丹沢山」

丹沢山から蛭ヶ岳までは3.3km。

登山計画書の予定では蛭ヶ岳を10時に到着としたので、時間は十分あります。

少し休んでから蛭ヶ岳へ向かうことにします。

丹沢主峰線は山奥深い感じがしてとても好感が持てました。

こういう雰囲気はとても好きです。

丹沢山から一回小さなピークを越えると長い下り坂が続きます。

眼前にはこれから越えていく不動ノ峰がどっしりと構えて見えます。

長い下り坂が終わると今度は長い上り坂。

傾斜はそれほどキツくはありませんが、重い荷物が影響してか息が弾んできます。

時間は十分あるのでペース落として歩くことにしました。

8時05分 不動の峰休憩所

そろそろ小休止を入れたいなと思っていたら、屋根らしきものが見えました。

なんというタイミングでしょう、休憩所でした。

しかもまだ新しく綺麗で立派な建物です。

調べましたら、令和5年10月17日から利用できるようになったとのこと。

あまりに立派な休憩所だったので、小休止のつもりが少し長居してしまいました。

8時25分 不動ノ峰

休憩所からさらに上っていき、平坦な道に出るとそこは不動ノ峰山頂。

山頂は広くはなく、単なるピークと思ったほうがよいですね。

そのために休憩所があったのかもしれません。

そのまま先へ進んでいきます。

不動ノ峰山頂付近
蛭ヶ岳まではあと1.9km

不動ノ峰を過ぎると視界がひらけ、ようやく蛭ヶ岳の容姿が見えてきました。

それと秀麗な富士山とその奥には南アルプスも見えます。

ずっと眺めていたい光景でした。

8時38分 棚沢の頭

不動ノ峰と同様、ただのピークです。

整備された笹の道を歩くのは気持ちが良いです。

不動の峰を過ぎてからアップダウンが続いています。

しかも高低差は結構あるのでペースを上げないほうが良さそうです。

8時58分頃 鬼ヶ岩ノ頭

「8時58分頃」としたのは、気づかなかったという事もあるのですが、メモを執るのと写真を撮るのを怠ってしまいまして…多分これくらいの時間に通過したのではないかな、ということで「頃」をつけました。(ごめんなさい)

この先が鬼ヶ岩ノ頭だと思う
蛭ヶ岳まで1kmを切った

鬼ヶ岩ノ頭を過ぎると蛭ヶ岳が一段と大きく見えます。

蛭ヶ岳までの距離は残り0.9km、鬼ヶ岩を下って上れば蛭ヶ岳山頂に到着です。

ですが、見た感じ下りも上りも急登なので焦らずゆっくりペースで進んでいくことにします。

鬼ヶ岩ノ頭付近からの蛭ヶ岳

鬼ヶ岩の急な岩場を下り、長い上り坂を上がっていきます。

急登というほどの勾配はありませんでしたが、距離がそこそこあるのでキツイです。

時々立ち止まっては絶景を眺めながら息を整えます。

鬼ヶ岩の急な下り坂 鎖場有り
そこそこ勾配のある上り坂

9時31分 蛭ヶ岳山荘

少しずつ距離を稼いでいくと小屋の屋根が間近に見えてきました。

ペースを崩さず歩いていき蛭ヶ岳山荘に到着。

小さな達成感が湧いていました。(この時点では「蛭ヶ岳山頂=蛭ヶ岳山荘」だと思っていました。)

小屋の前は広く特に東側が開けていて素晴らしい眺めが見渡せます。

9時45分頃 蛭ヶ岳山頂

少し休んだあと先へ進んでいくと本当の山頂がありました。

小屋の前で休憩したのは何だったのか自分を責めたくなります。

山頂は広く、ベンチもたくさんあります。

眺めも良いですね。

こっちでゆっくり休めばよかったな…

と思いながらここでもしばらく景色を楽しんでしまいました。

丹沢最高峰まで来たので、ここから先は概ね下りが続くだろうと気楽に思いながら地図を確認しましたら、塔ノ岳からまだ3分の1くらいしか進んでい事に気づきます。(2.6km+3.3km=5.9km 残りは約11.2km)

ゴールまではまだまだ長いです。

姫次に向けて再スタートします。

まずは割と急な木の階段を下りていきます。距離もそこそこあります。

森の中に入り、高度1450m辺りからなだらかな下り坂になります。

この辺りの整備はあまり行き届いていない印象を受けました。

長い木段が続く
少しずつ雰囲気が変わってくる

11時02分 地蔵平

「平」が付くだけあって平坦で開けた場所ですね。ここで少し休憩。

姫次まではあと1.2km、思っていたより進んでいない事を実感しました。

11時18分 原木屋平を通過

以前ここには小屋があったようです。

ここを過ぎるとなだらかな上り坂になります。

11時37分 姫次

姫次の手前300mで急な上り坂が待っていました。

だいぶ気温も上がっていることもあって、かなりしんどく感じます。

無心で上り切って姫次に到着。

大きなベンチが3つほどあったので、ここで昼食休憩をとることにしました。

眺めはあまり良いとは言えませんが、一応富士山は見えます。

12時20分 再スタート

蛭ヶ岳で長居をしてしまったためか、計画書通りの時間になっていました。

気温がぐんぐん上がっているので少しペースが落ちそうな予感。

バスの出発時間に十分間に合うように計画しているのですが、乗り遅れたら…と思うと少し不安になります。

緩やかな上り坂を進み「東海道自然歩道 最高地点」を過ぎると今度は長い下り坂が続きます。

途中にはモノレールがありました。何に利用されているのでしょうか。

12時40分 八丁頭の分岐

まだ下り坂は続きます。

焼山まではあと3.9km、意外と先は長そうです。

13時00分 黍殻山避難小屋 通過

青根分岐を右方向へ進むと右手に広場と小屋らしきものが見えます。

避難小屋のようですが、用事はないので通過します。

青根分岐 右斜方向へ

13時05分 大平分岐

ここまではとりあえず順調に進んできました。

分岐点の近くに水場があるようです。

黍殻山へ行くため左に上っていきます。

13時22分 黍殻山(きびがらやま)

あまり踏み固まっていない道をくねくねと上っていき、尾根沿いを進んで黍殻山に到着。

山頂は雨量計測所になっていました。

道が踏み固まっていなかったのは、こういうこと(上る必要がない)なのかなと。

三等三角点を確認してから、本線に戻るため細い尾根に沿って下っていきます。

踏み固まっていない道を上る
黍殻山山頂
三等三角点 基準点名「青根村」
細い尾根を下って本線へ

黍殻山から本線に合流し、相変わらず緩やかな下り坂を下っていきます。

平丸分岐を過ぎると上り坂に変わります。

左へ巻くように進んでいくと急に下り坂に変わります。

本線に合流
平丸分岐 ここから緩い上りになる

焼山まで残り500mを過ぎた辺りから上り坂に変わり、そのまま山頂まで続いているようです。

14時07分 焼山山頂

最初どこが山頂なのか分からず少しウロウロしてしまいましたが、無事に到着。

まずは三角点を確認。損傷が激しかったです。

三角点は大切にしましょう。

三等三角点 基準点名「焼山」

山頂近くにベンチがあったので少し休憩。

近くに物見台がありましたが、ロープが張られていて立入禁止のようです。

14時22分 再スタート

焼山から先は特段何も無いので、あとはバスに間に合うように進んでいくだけです。

土曜日だったので16時36分発のバスが最終のようです。

一応地図を確認し、西野々方面へ向かいます。

本線(?)に合流しつづら折りにぐんぐん高度を下げていきます。

つづら折りの道が終わると次は谷深い沢の沿いの道になります。

道は狭く、沢側は急斜面になっているので滑落に注意です。

よそ見しながら歩いていると足を持っていかれます。

途中かなり急で滑りやすい坂がありました。

短い距離ではあるにせよ、環境省が「東海自然歩道」と銘打っているのでしたら、ここはもう少し整備してほしいと思います。

滑りやすく急な坂 右方へ下っていく

15時12分 残り1.7km地点

急な下り坂を過ぎしばらく進むとベンチがあったので少し休憩。

ひたすら急な下り坂だったので足に堪えます。

15時を過ぎ、だいぶ日が陰ってきました。

晩秋から冬季だともっと暗くなっていると思います。

再スタートしてしばらく進むと石畳の道になりました。

これは下界が近づいている証拠なのでしょうか。

15時31分 分岐点

ここで西野々方面と焼山登山口とに分かれます。

今回は焼山登山口へ向かうので右へ折れて下っていきます。

下っていくと沢の音が聞こえてきて林道に出ました。

道標の案内通りに林道を歩いていきます。

15時37分 ゲート通過

ゲートを通過し橋を渡ると林道は緩やかに上っていきます。

下界らしくなってきました。

15時49分 焼山登山口バス停(ゴール)

林道から突き当たりの車道にでたら右へ曲がります。

バス停に行く途中で歩いていたおばあちゃんに「蛭には食われなかったかい?」と聞かれ、そのとき蛭のことに気づきました。そういえば蛭はいませんでした。

100mほど進み、ゴールであるバス停に到着。

お疲れ様でした。

とても充実した2日間でした。

計画より30分ほど早く出発した分、到着予定もちょうど30分早かったので、ほぼ計画書通りのペースで歩いていた事になります。

その代わりバスが来るまで50分近く待つことになりましたが、乗り遅れるよりはマシです。

ここからの帰路は相模湖駅まで行くのですが、タイムラインは以下の通りです。

16時37分 バス出発(1分遅れ)

16時56分 三ヶ木(みかげ)バスセンター着(終点)

17時07分 三ヶ木バスセンター発

17時27分 相模湖駅着

三ヶ木バスセンターからは他にも橋本駅行きのバスも出ているので、京王線やJR横浜線も利用できます。

今回の山行で思ったこと

  • 蓑毛バス停からヤビツ峠までは全く意味なし。無駄にスタミナを消費しただけでした。
  • ヤビツ峠から塔ノ岳は描いていたイメージとは違い、道は狭くアップダウンが激しかった。
  • 塔ノ岳から見える富士山が秀麗でした。これも良い意味でイメージとは違いました。
  • 装備はもう少し考えて軽量にすればよかったです。(ストックなどは不要です。ガスストーブ類も必要なかったかも…)
  • とにかく木の階段と木道がすごく多い。それだけ自然保護に力を入れている証なのでしょう。
  • 丹沢は日帰りだともったいないと思います。1泊して素晴らしい眺めを充分に味わったほうが良いと思います。
  • 焼山から登山口までは整備が行き届いていないので、転倒や滑落には十分注意したほうが良いです。

こんなところでしょうか。

次回丹沢へ行くときは、バカ尾根か檜洞丸か丹沢三峰を歩きたいと思います。

では次回もよろしくお願いいたします。

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